みぞれまじりの氷雨が降りしきるこの七里ヶ浜の沖合いで
ボート箱根号に乗った逗子開成中学校の生徒ら十二人が遭難
転覆したのは一九一〇年(明治四三年)一月二三日のひるさがりのことでした
前途有望な少年たちのこの悲劇的な最期は
当時世間をさわがせました−がその遺体が発見されるにおよんで
さらに世の人々を感動させたのは彼らの死にのぞんだ時の人間愛でした−
友は友をかばい合い兄は弟をその小脇に
しっかりと抱きかかえたままの姿で収容されたからなのです
死にのぞんでもなお友を愛しはらからをいつくしむ
その友愛と犠牲の精神は生きとし生けるものの理想の姿ではないでしょうか
この像は「真白き富士の嶺」の歌詞とともに 永久に
その美しく尊い人間愛の精神を賞賛するために建立したものです
一九六四年五月一七日 逗子開成校友会
鎌倉開成会
遭難者の氏名
牧野久雄 笹尾虎次 谷多操 小堀宗作
木下三郎 奥田義三郎 徳田勝治 徳田逸三
内山金之助 松尾寛之 宮手登 徳田武三